季節の変わり目などにドライクリーニングを利用している方も多いのではないでしょうか。ドライクリーニングとは、水を使わず有機溶剤で衣類を洗う方法で、自宅での水洗いとは大きく異なります。
しかし、ドライクリーニングマークがついている衣類でも自宅で洗えるものがあるため、どのようなものをドライクリーニングに出すべきかわからない方も少なくないでしょう。
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今回は、ドライクリーニングとはどのようなものか、メリットとデメリット、水洗いとの違いなどについて詳しく解説していきます。ドライクリーニングとは
ドライクリーニングとは
ドライクリーニングとは乾燥洗濯の意味で、水を使わずに石油系溶剤などの揮発性有機溶剤を使用して洗濯する方法です。衣類の伸びや縮み、ヨレなどを心配することなく形を整えたまま汚れを落とすことができるため、基本的にはデリケートな衣類の洗浄に適しています。
洗濯表示でドライクリーニングマークがついている衣類であれば、ドライクリーニングで洗えます。
では、クリーニングの種類やドライクリーニングの特徴を見ていきましょう。
クリーニングには種類がある
クリーニングには、大きく分けて5つの種類があります。
- ランドリー
- ドライクリーニング
- ウェットクリーニング
- しみ抜き
- その他の特殊クリーニング
ランドリーとは、50~70度の高温の水と洗剤、洗浄力を高めるためのアルカリ剤や漂白剤などの助剤を併用して洗うクリーニングです。対象となる衣類はカッターシャツやシーツ、白衣などです。ランドリーで洗うと型崩れするため、洗浄後にのり付けし、高温プレスで形を整えます。
ウェットクリーニングとは、洗濯表示がドライクリーニング可、水洗い不可の衣類で、ドライクリーニングだけでは落ちにくい汚れがあるものに対して、縮みや型崩れが起きないように汚れ落ちがよい特殊な洗剤を使用した水洗いです。
しみ抜きとは、通常のクリーニングでは落ちない汚れを落とす方法です。水性や油性など汚れの性質に応じて、最も適したしみ抜きの方法を行うことで、非常に高い精度で汚れを落とせます。
その他の特殊クリーニングとは、皮製品や着物など上述したクリーニングコースでは対応できない衣類を対象とするクリーニングです。
衣類や素材、汚れの性質によって、上記の方法から適しているものを選択してクリーニングします。
ドライクリーニングの特徴
ドライクリーニングでは、水の代わりに有機溶剤を使用して衣類を洗います。簡単に言えば、水ではなく油で洗濯するクリーニング方法です。
ドライクリーニングで用いる有機溶剤には、大きく分けて2種類あります。
- 石油系溶剤(ターペン)
- 塩素系溶剤(パークロルエチレン)
石油系溶剤と比較して、塩素系溶剤の方が洗浄力は高いものの、環境に良くありません。また、塩素系溶剤は合皮やスパンコールなどのデリケートな衣類を洗う際には生地を傷めてしまうため、現在主流となっているのは石油系溶剤です。
石油系溶剤は、油脂溶解が比較的小さく、比重が軽いので、衣類へのダメージが少ないというメリットがあります。また、ススやホコリなどの汚れにも効果を発揮します。
石油系溶剤のデメリットとして、水溶性の汚れに弱いことが挙げられます。また、洗濯ごとに石油系溶剤を捨ててしまうと環境破壊につながるため、使用後は汚れをフィルターで濾過し、きれいな状態に戻してから繰り返し使用する必要があります。そのため、管理を怠るとすぐに油が汚れてしまいます。
ドライクリーニングのメリット
ドライクリーニングには、下記のようなメリットがあります。
- 油溶性の汚れが落ちやすい
- 型崩れや色落ちがない
- 素材の風合いを損なわない
1つ目のメリットは、油溶性の汚れが落ちやすい点です。油やボールペンのインク、チョコレート、化粧品などの油脂系の汚れをしっかりと落とすことができます。
また、水を使わずに洗濯するため、型崩れや色落ちがしにくいです。ウールやカシミヤ、シルクなどの素材の衣類を気兼ねなく洗濯できます。
さらには、コートやスーツ、繊細な素材の衣類など自宅で洗ってしまうと風合いが損なわれてしまい、型崩れがしてしまうものでも、ドライクリーニングであれば素材の風合いを保てます。
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ドライクリーニングのデメリット
ドライクリーニングにはメリットがある一方、下記のようなデメリットもあります。
- 水溶性の汚れを落とせない
- 溶剤の臭いが残ることがある
汗やアルコール、醤油などの水溶性の汚れは、ドライクリーニングで落とすことはできません。ただし、ドライクリーニングの場合も、有機溶剤に洗剤と微量の水を混ぜることによって、水溶性の汚れを落とせます。
また、ドライクリーニングで洗濯した衣類に有機溶剤の石油のような独特の臭いが残る場合もあります。有機溶剤が衣類からしっかりと落ちていなかったり、有機溶剤そのものが劣化していたりするからです。
ドライクリーニングと水洗いの違い
家庭で行う水洗いは、水に洗剤を加えて洗うのに対し、ドライクリーニングは有機溶剤を使用して洗います。
ドライクリーニングで使用する有機溶剤は衣類を傷めることなく洗濯できるため、水洗いと比べると衣類が型崩れしにくく、縮みにくいという違いがあります。
また、ドライクリーニングでは、専用の洗濯機を使って排水を行わず、有機溶剤を循環させて衣類の汚れを落とします。そのため、繊維の色素が流れてしまうことがなく、色落ちしにくいです。
このように、水洗いにおけるデメリットがドライクリーニングで解決するのです。
ただし、水溶性の汚れはドライクリーニングで落とせません。、油溶性の汚れに強いのがドライクリーニング、水溶性の汚れに強いのが水洗いといえるでしょう。
下記は、ドライクリーニングと水洗いを比較した表です。
ドライクリーニング | 水洗い | |
洗い方 | 溶剤 | 水 |
落とせる汚れ | 油溶性の汚れ | 水溶性の汚れ |
メリット | 型崩れや縮みなどが起きにくい | 大半の汚れをしっかりと落とせる |
デメリット | 水溶性の汚れが落ちず、独特の臭いが残ることがある | 衣類にトラブルが起きやすい |
ドライクリーニングに出した方がよいもの
家庭で水洗いすると傷んで着られなく衣類は、ドライクリーニングに出した方がよいでしょう。
ドライクリーニングに出した方がよいものは以下の通りです。
- 水洗いに向かない素材
- ドライクリーニングマークがある衣類・小物
ウールやカシミヤなどの素材は水に濡れると、繊維が絡まって縮みやすくなるため、水洗いには向いていません。また、洗濯表示のドライクリーニングマークは「ドライクリーニングができる」という意味で、「ドライクリーニングしかできない」ものではありません。しかし、ドライクリーニングマークがある衣類や小物はドライクリーニングに出した方がよいでしょう。
ここからは、どのようなものをドライクリーニングに出したらよいのか、見分け方について紹介していきます。
水洗いに向かない素材
水洗いに向かない素材は、ドライクリーニングに出した方がよいでしょう。
ドライクリーニングに出した方がよい、水洗いに向かない素材は以下の通りです。
- ウール
- カシミヤ
- レザー
- アンゴラ
- レーヨン
- シルク
- レース
- 麻
ウールやカシミヤ、アンゴラやレーヨンは水分を含むと縮んでしまいます。また、レザーは水に濡れると他の服に色落ちしてしまう可能性があります。シルクは、水分を含むと刺激に弱くなります。レースは、さまざまな素材でできているため、縮んだり、生地が引っかかったりし、水洗いに向いていません。麻は、洗濯や脱水でしわができやすく、色落ちもあります。
このような理由から、上記の素材は家庭で水洗いするのではなく、ドライクリーニングに出すことをおすすめします。
ドライクリーニングマークがある衣類・小物
ドライクリーニングマークがある衣類・小物はドライクリーニングに出した方がよいでしょう。
ドライクリーニングマークとは「ドライクリーニングができる」衣類を指します。「ドライクリーニングしかできない」という意味ではないため、注意しましょう。
新JISの洗濯表示記号としてドライクリーニングの項目には5つの記号があります。
引用元:消費者庁 「新JISの洗濯表示記号」 表6ドライクリーニング
ドライクリーニングマークがある衣類・小物には下記のようなアイテムがあります。
- スーツ
- セーター
- ダウンコート
- プリーツスカート
- ドレス
- 着物
このようなアイテムは、おしゃれ着用洗剤を使えば家庭で洗えるものもありますが、型崩れや縮みなどの可能性があるため、できればドライクリーニングに出すことをおすすめします。
ドライクリーニングマークがあるものは自宅で洗えないのか?
ドライクリーニングマークがある衣類の中にも、家庭で洗えるものがあります。それは、ドライクリーニングマークの横に家庭で洗濯できる「水洗いマーク」が併記されている場合です。
最近では、ウォッシャブルスーツや家庭で洗濯できるセーターも増えてきています。
では、このようなものを自宅で洗う方法と洗う際の注意点について解説します。
自宅で洗う方法
ドライクリーニングマークがついているものを自宅で洗濯する場合の手順は、下記の通りです。
- 衣類をネットにたたんで入れる
- おしゃれ着専用の洗濯洗剤を使用する
- 洗濯機の機能にあるドライクリーニングコースや弱水流コース、おうちクリーニングコースなどで洗う
衣類をネットに入れると型崩れや縮み、繊維の傷みを防ぐことができます。汚れを落としやすくするために、襟や袖が表に出るようにたたみましょう。
おしゃれ着専用の洗濯洗剤とは、中性洗剤のことです。市販のドライマーク対応の洗剤を用意しましょう。
商品に記載された分量の中性洗剤を洗濯機にセットしたら、洗濯コースを設定して衣類を洗います。
洗濯後は、衣類の形を整え、縮みを防ぐために陰干ししましょう。
自宅で洗うときの注意点
ドライクリーニングマークがついているものを自宅で洗う際の注意点は、下記の通りです。
- ウール70%以上のものは手洗いする
- 洗う時にお湯を使用しない
- 干すときに型崩れしないよう注意する
ウール70%以上の衣類は、洗濯機で洗うのではなく手洗いしましょう。手洗いの際はネットにたたんで入れ、中性洗剤で洗います。また、温度の高いお湯で洗うと衣類が縮みやすくなるため、必ず30度以下の水を使用しましょう。
衣類を干すときには、縮んだ部分を伸ばし、形を整えてから平干しすることをおすすめします。
ドライクリーニング品はクリーニング店に依頼するのがおすすめ!
ドライクリーニング品は、自宅で洗えるものもありますが、型崩れしたり、縮んだりする可能性もあるため、クリーニング店に依頼するのをおすすめします。
では、ドライクリーニングに出す際の一般的な料金と仕上がりの日数について紹介していきます。
ドライクリーニングに出すときの料金
クリーニング店にドライクリーニングを依頼するときにかかる料金の目安下記の表の通りです。
クリーニング品 | 料金の目安 |
スーツ(上下) | 850円~1900円 |
セーター | 350円~600円 |
ダウン | 1900円~2300円 |
スカート | 350円~600円 |
コート | 1000円~1900円 |
上記はクリーニング店に衣類を持って行き、仕上がったら自ら取りに行く際の値段です。宅配クリーニングの場合は、高価格帯店舗の通常コースの値段と同じくらいになります。
さほど料金の差はないため、店舗に受け取りに行くのが手間だと感じるなら、利用するのもよいでしょう。
仕上がりにかかる日数
クリーニング店にドライクリーニングを依頼した際に仕上がりまでかかる日数は、衣類の種類によって異なります。
ワイシャツやスーツは、お店によっては即日や翌日、通常では約3日から1週間かかります。
ダウンコートやカシミヤ、ファー、革製品は約1週間かかるでしょう。
また、浴衣や着物などは1か月ほどかかります。
ドライクリーニングに出すものは自宅で洗にくいものがほとんどであるため、仕上がり日数もある程度かかることを想定しておきましょう。
迷ったらクリーニング店に相談するとよい
ドライクリーニングに出すか、自宅で洗うか迷うこともあるでしょう。自己判断で、自宅で洗濯してしまった結果、色落ちや色褪せなどで衣類が台無しになってしまい、次に着られなくなることもあるため、クリーニングのプロに相談することをおすすめします。
クリーニング店には、店舗型だけでなく、宅配型もあります。宅配型は、自宅にいながらクリーニングの依頼も仕上がった衣類の配達も完結できるため大変便利です。衣類を店舗に持ち込むのが大変、仕事が忙しくて店舗に行く暇がない人などに向いています。
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まとめ
水を使わずに有機溶剤で衣類を洗濯するドライクリーニング。型崩れや縮みが起きにくく、自宅で洗濯するのが難しいスーツやセーターなども洗えます。素材の風合いも損なわないため、お気に入りの服を気兼ねなく洗えるでしょう。
ドライクリーニングマークがついていても自宅で洗えるものはありますが、衣類が傷む可能性もあるため、クリーニング店に依頼した方がよいでしょう。
クリーニング店は店舗型と宅配型があり、家にいるだけでクリーニングができる宅配型が大変便利です。宅配型を利用する際は、安心・高品質のラクリの利用をおすすめします。